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TOCの基礎を学ぶ

TOCの概論

TOCは、営利企業共通の目的である「現在から将来にわたって儲け続ける」というゴールの達成を妨げる制約(Constraints)に注目し、企業内共通の目標を識別し改善を進める事によって、企業業績に急速な改善をもたらします。すなわちTOCとは企業収益の鍵を握る「制約」にフォーカスする事によって、最小の努力で最大の効果(利益)をあげる経営管理手法です。

70年代前半、TOCの開発者であるエリー・ゴールドラット博士は、「工場の生産性はボトルネック工程の能力以上は絶対に向上しない。」という至極当たり前の原理を提唱しました。工場の生産性を上げるためにネック工程に同期させる生産を行い、資材調達もネック工程に同期させるようにした結果、生産性が飛躍的に高まり、仕掛りや在庫が劇的に減少する事を実証し、それをTOC(制約理論)として普及していったのです。

その後TOCは、市場需要の開拓や企業内の根深い対立を伴う問題に対処する「思考プロセス」、従来会計の問題点を克服し、キャシュフロー最大化の視点から意志決定をサポートする「スループット会計」を提唱し、工場内の改善から企業全体の収益を最大にする経営革新手法に発展しています。さらに今日TOCはIESやセールス・マーケティングの領域をもカバーする統合手法へと発展しています。

Constraints(制約)とは

Constraints(制約)とは「あるシステムが、ゴール達成のためより高い機能へレベルアップするのを妨げる因子」と定義しています(APICS:アメリカ生産管理在庫管理学会Dictionary,1998年)。企業経営で考えれば、制約とはアウトプット(利益)を握っている鍵という事です。制約の定義は、生産現場なら能力の一番低い工程や設備であり、純粋に能力が不足している状態を「物理的制約」と呼びます。また規定や制度、組織構造などマネジメント上の制約の場合には「方針制約」、さらには需要が盛り上がらず販売が伸びない状態を「市場制約」と規定しています。この3つの制約を常に識別することにより、全体に影響する制約を次々に発見・解決する「間断なき革新プロセス」を構築する事ができるのです。

TOCによる経営革新ツール

TOCを世に広めた小説「ザ・ゴール:The Goal」は21カ国語に翻訳され、全世界で400万部近を超える大ベストセラーとなっています。TOCを導入している企業は世界に名だたる航空機、自動車、半導体、化学、鉄鋼といった企業やアメリカ軍、自治体、医療機関、幼児教育など多岐にわたり、その成果もそれぞれにめざましいものがあります。国内でも、富士通、NEC、エプソン、日立ツール、日立金属など大手製造業を中心に数十社の目覚ましい成果が報告されTOCは経営革新ツールとして注目を集めています。
TOCによる経営革新ツールとして、次のようなものがあります。

思考プロセス

TOC思考プロセスは、「組織の中に変化を生み出し、実行するための体系的なアプローチを提供するもの」です。つまり、組織のゴール(目的)に向かって変えるべきものと変えなくてもよいものとを明確にし、変えるべきものをどのように変えていくか(変化させていくか)を明確にする、組織的な問題解決です。

DBR(ドラム・バッファー・ロープ)

「工場の生産性はボトルネック工程の能力以上には絶対に向上しない」という至極当たり前の原理を基に、工場全体をネック工程に同期させる生産を行うことにより、生産性が飛躍的な高まり、仕掛りや在庫が劇的に減少することを実証しました。そしてこの方法が「DBR」であり、実現のための手順が「継続的改善の5ステップ」です。

クリティカルチェーン

ゴールドラット博士は、画期的なプロジェクト管理手法、クリティカルチェーンを開発しました。この手法は、人間の行動特性とアルゴリズムに目を向け、全体最適化(安全余裕の集約)の観点から開発されたプロジェクト管理手法で、目標スコープと予定コストを維持し、プロジェクト期間が大幅に短縮できます。

スループット会計

スループットの概念はこのように、製造業における、時間当たり利益をマネジメントする方法論です。従来のヒト・モノ・カネといった積み上げ形の経営ではなく、有限な「時間」の概念を取り込んで利益を企画するということなのです。
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